奈美にできることはまだあるかい?〜赤べこ姉弟は滋賀に来た〜
どうも、岸田奈美です。
以前、赤べこになった姉べこです。
まさか、あの記事があんなに多くの人に読んでもらえると、思わなくて。
noteのサポート(投げ銭)まで、いただいてしまって。
なんかもう、ここんとこ岸田家、盆と正月が一緒に来たような大騒ぎ。
実家に帰ったら、父の仏壇にいつも供えられてる、ぼんち株式会社のぼんちあげ(155円)が、播磨屋本店の朝日あげ(500円)になってた。
なんつーか、ここで思い切って千疋屋のメロンにいけないところが、岸田家っつーか。
そんなわけで。
誰の話題で得られたお金だい?ということで。
奈美にできることはまだあるかい?ということで。
行ってきました。サポートのお金で。
我が弟・良太との、滋賀県ふたり旅!圧倒的感謝!
※良太……ダウン症で知的障害のある私の弟
滋賀県を選んだのは、なんとなく。
強いて言うなら、行ったことないところに行きたかった。
母に「楽しんで!」と、それはそれは、盛大に送り出されて。
7分後にこれ。
いや、早くね?
まだ駅にすら着いて無いんだけど?
え?うそ?
このペースで連絡くるの?正気?
したらさ、最寄り駅に歩いていくだけなのに
「もう少しで雨止むらしいけど、大丈夫か?」
などの連絡が、まあまなペースで届くわけ。
たぶん、藤岡弘探検隊の類いだと思われている。
面倒なので、オオアリクイと死闘していることにした。
そんで、神戸電鉄三田線の無人駅で。
電車を待っていたらば、よ。
全然知らないおばあちゃんが近づいてきて、良太に話しかけた。
「ペットボトルのフタが開かなくて……助けてくださる?」
えっ?
開けた。
余裕で開けた。
おばあちゃん、それはそれは喜んでくだすって。
お礼に、自動販売機で好きな飲み物、選んで良いよって。
選んどるがな。
なにが起きた?
優しい世界の超新星爆発?
見るからに障害のある人と、付き添いの人が一緒にいたら、ほとんどの人は付き添いに声をかけると思うの。
悲しいけど、私はそれで慣れてたの。
あわてて、おばあちゃんに「なんで弟に声かけてくれたんですか?」って聞いた。
おばあちゃん、不思議そうに首をかしげて。
「だって男の子だから、力持ちだと思って。ご迷惑だったかしら?」
赤べこの可動域に、左右が加わった。
私は首をぶんぶん振り「滅相もねえです」と言った。
急に農民が憑依した。
電車に乗ったら乗ったで、今度は知らない女の人が、良太に声をかけてくるの。
「えっ!うそ!岸田くん?いやーん、久しぶり!」
RPGゲームでもしてんのかこれ、ってくらいのエンカウントぶり。
ただ、めちゃくちゃ楽しそうに女の人と良太が話してんだけど、私、一切、紹介してもらえねえの。良太に。
姉ちゃんをな、姉ちゃんを、紹介してくれ。
頼む。一人にしないで。置いていかないで。
いつの間に、そんな人脈を築いてんだ。
もはや私よりコミュ力高いし、友だち多くねえか。
ふう。
電車乗り換えて、席に座ったらさ。
良太が「駅に着いたら起こす」って言ってくれたのよ。
もう、感動しちゃって。ずいぶん立派になったなあって。
「え?そう?悪いねえ、ガハハ」ってな具合に言ったんだけど。
2分で、爆睡。
この世で信頼して良いのは、己のみである。
駅に着いて、お昼ご飯を食べて。
はー食った食ったーって、店を出たら。
良太が「あっ!」つって、走って行った。
逃亡した……終わった……。
って絶望してたら、戻ってきた良太の手には、スーツケース。
わわわわわわわわ忘れてたーーーーーーーー!!
衣服をすべて失うところだったーーーーーー!!
ウワーーーーー!!!ごめん、ごめんよ!!!!
姉べこ、常にいつも、何かを忘れてしまうので。
失った切符とチケットは、数知れず。
いつも良太に預けてるんだけど。
姉としての尊厳は、早々にないわけだけど。
預かる前提で、胸ポケットのある服を選んで着てくれる、良太は良いヤツ。
というかね、もうね、気づいてるでしょうけど。
全体的にね、弟の方がしっかりしてるんですよね。
細かすぎて伝わらないモノマネ選手権大会の穴のごとく、秒で寝落ちする以外は。
マナーとかもね、ほんと、ちゃんとしてる。
食事を運んでくれる店員さんにも、
JRの改札で切符を受け取る駅員さんにも、
エレベーターで開ボタンを押してくれる外国人さんにも、
ドアを開けてくれるタクシーの運転手さんにも。
どんな人にも、ペコッと一礼するんですわ。
絶対に。良太は。
これが、なんつーか、案外いい感じで。
相手も最初キョトンとした後、ニコッと笑いかけてくれる。
心なしか、切符の受け取りや運転なんかも、丁寧にしてくれる気がする。
気が、する。
研修中の名札をつけた店員さんは、こわばった顔が、フッと解けてたな。
よかったなあ。
まあ、そういう世話焼きな良太にね、味を占めるのがね。
私ですよね。
甘やかせば甘やかすほど、堕落することに定評がある。
これは私の脱ぎ散らかした服を片付けてくれる図である。
ちなみにこの後、私はめちゃくちゃ叱られた。
さて、本日のお宿。
滋賀県おごと温泉旅館・里湯昔話 雄山荘!
良太のように、ダウン症の人って、どういうわけか水が好きな人が多いらしく。
温泉とかプールとか、落ち着くみたいで。
でも、良太の場合、男女別大浴場のロッカーや靴箱の仕組みがわかりづらくて、一人で大浴場には行けなくて。
今回、思い切って、お風呂付きの客室にしてもらったところ。
ずーっと、プカプカ浮いてました。
海坊主か?
あとね。
なんかもう、感動したんだけど。
良太、マジで、見よう見まねで生きてた。
私が浴衣着てるの見て、
自分で浴衣着て。
私がお鍋作ってるの見て、
自分でお鍋作って。
経験がないことも、恐れず、やってくれるわけ。
失敗する恥ずかしさとかも、ないわけ。
なんかやっぱ、例えば言葉が通じない国に行ったとしても、良太はうまーくやっていけるんだろうなーと思った。
最強オブ最強。
知らんけど。
そんで、翌日。
起きたら良太、自分でお湯張って、風呂入ってた。
順応しすぎ!
大津港で、ミシガンクルーズという船に乗りました。
プロのMCが乗ってて、トークあり、歌ありで、すっごいコスパの良い船旅なんだけど。
私が「しばらく陸に上がれなくなるで〜」と、適当なことを言ったら。
めちゃくちゃ、陸に礼節を尽くしていた。
めちゃくちゃ、嘘ついてごめんと謝った。
話題の絶景スポット、びわ湖バレイにも行きました!
ここでスペシャルゲスト、合流。
プロフォトグラファーの別所隆弘さん。
滋賀県出身、滋賀県在住ということで、
Twitterとnoteで我々の旅を見て、撮影に駆けつけてくれました。
い、良い人〜〜〜〜〜〜!!!!!
そ、そんで、良い写真〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!
海原雄山を彷彿とさせる座り姿で、リフトを堪能する姉弟。
すしざんまいを彷彿とさせる立ち姿で、感謝の意を表す姉弟。
別所さん、ありがとうございました!
(ちなみに良太は別所さんにずっと「車、いくら?」「車、高い?」「車はお金で買った?」「車は一万円くらい?」って聞いてた)
あー、滋賀県、楽しかった!本当に!
前半のお天気があんまり良くなくて、そんなに外出てないんですけど。
それでも琵琶湖キレイだし、絶景のわりに混雑してないし。
noteを通じて、サポートをしてくださった皆さんのおかげで、弟と楽しい時間を過ごすことができました。
赤べこの記事で「助けられた分、助け返せ」って、弟に願いをかけてたんだけど、本当に人助けしてたよ。
先日、インタビューで、投資家の藤野英人さんにお会いして「日常でお金を使う時は、投資の視点で考えると良いよ。自分にとって一番、リターンの大きい使い方をするって意味」と、教えてもらいました。
私にとって、大きいリターンって何かなあ。
それはやっぱり、母や弟と、行ったことのない場所に行くことなのかな。
障害があるからって諦めてた場所にも、行ける嬉しさがあって。
私たちが行くことで、出会った人が少しだけ笑顔になってくれて。
それを記事にして書いたら、もっと多くの人に伝えられて。
そうしたら私は、飛び上がるほど、エクセレントでハッピーで。
得られるものは、はかりしれないから。
みなさん、よければ、一緒に。行きましょう。
これからも、どこにでも。どこへでも。