【キナリ★マガジン更新】【岸田奈美 × しいたけ.往復書簡】魂の形がインターネット
占い師のしいたけ.さんと作家の岸田奈美の愉快な往復書簡です。こちらのマガジンをフォローしていただくと、返事が書かれた時に通知が届きます。
左ききのしいたけ.さま
お返事が届いた瞬間、ほんとうに救われました。実はいま、生涯最悪レベルで体調がやばくて、ほぼ寝たきりでなんです。日本代表として「NE・TA・KI・RI」を世界共通言語にする大役を仰せつかるほどの衰弱っぷりです。あ、お医者さんにはもうかかっていて、回復のめどは立っていますので、ご心配なく……!
しんどい時って過去も未来もなく「今ァ!ここォ!」しか考えられないので、エッセイのエの字も浮かばんのです。でも、こうして手紙だけは書きたいと思えてよかった。書いてくれるしいたけ.さんがいて、読んでくれる人がいるということに、ギリ物書きとしての命を助けられています。
わたしは人の話を聞くのがほんとうに苦手で、一分もたずに面前で手遊びを繰り広げてしまう不届き者。だから、誕生日は祝われる暇もなく『話を聞くのが苦手な岸田奈美を鍛えるための対談イベント』なるものに裸で臨んで、派手に玉砕しておりました。ケーキの代わりに修行機会が与えられるという寸法です。ローソクではなく墓が立ちました。
でも文章だと、なんでか大丈夫みたいです。しいたけ.さんのお手紙を、ふんふん鼻息荒く、最後までじっくり読ませていただきました。
会話のロスタイムで友だちになれる論!
こりゃ、すごくいい話を聞きました!
でも、わたしの大いなる勘違いにも気づかされました。ロスタイムなる存在にはずっと気づいていたんですが、それを『試合終了後の品評会』だと信じてたんです……。臨んでいる競技からして違ぇの!
わたしの場合は打ち合わせ終わったあと、エレベーターを待つ立ち話で
「わたし変なとこなかったですか?」「ってか引いてました?」「あの時はノリで口走っちゃいましたけど、本当はもっとまともですよデュフフwww」
って、相手の反応を探りながら、自分をフォローするのに必死です。興味があるのは、自分の振る舞いが何点だったかだけ。
なんなら、隠し持っていた第二の手土産をここで突然ジャジャーン!と押しつけて、逃げ去ることもあります。手遅れの状態から、死に物狂いで巻き返そうとしている。甲子園球児さながらの執念。
あのですね、わたしは“おもしれー女”になりたいのですが、大前提として“普通の人間”でもありたいのです。基礎点を満たした上で、スペシャルになりたいというか。
要は……本当に……嫌われとうない……!
んなら、当たり障りのない普通の会話ができりゃいいんですが、これがわたしにとってはバク宙三回ひねりぐらいの難易度で。
昨日、お盆参り中の夫(僧侶)からLINEがきました。
「JAFって入ってる?」
字面を見た瞬間、わたしは夫が事故ったと確信しました。
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