【キナリ★マガジン更新】文系が何も考えずにシリコンバレーを観光するとこうなる
移動も食事もらくちんだったサンフランシスコ出張で、地味に困ったのは買い物だった。
特におみやげ。
おみやげは大切である。
我こそは、わたす相手も思いつかぬまま買いまくり、なし崩しに自分用としてガメる、お土産キャッツアイなので!
しかし、円安がえぐい。
日本でも買えそうを通り越して、日本で買ったほうがむしろ良さそうなものを、わざわざアメリカで買うのはアホらしい。
有名な『ピア39』という観光地に行ったら、ちょっと疲れてヤケを起こした神戸ハーバーランド(アシカ添え)でしかなかったので、早々に退散した。
午後の予定がなくなってしもうた。
……そうだ。
シリコンバレーに行こう。
わたしは平成初期のインターネットを産湯に誕生した女である。一説によれば「ママ」と話すより先にキーボードで「mama」とタイピングし、母乳をねだったという。夜泣きの声は、ダイアルアップ接続のピューヒョロロと同じ旋律を奏でたという。
ところが、期待していたコンピュータ博物館は、あいにく休館だった。
あっ、でも、AppleとGoogleの本社は開いてるのか……。
……行っていいの!?
天才エンジニアと英語またはプログラミング言語でディスカッションできる理系にだけ許された訪問じゃないの!?
と思ってたら、
“ビジターセンター”
という観光客向けの建物が、本社の手前にあるらしい。
「ははーん!」
これは、あれだな。用もないのにド厚かましく「本社や!本社や!聖地巡礼〜〜〜!自撮りウェ〜イ!」つって押し寄せてくる、アホの文系観光客どもを「ああああああうるさい!お前ら来んな!仕事の邪魔や!そっち行っとけ!」と一箇所に集めて、一網打尽にするための“出島”ってわけね……!?(※偏見です)
出島にホイホイされる文系観光客になったろやないかい!
最初に行ったのはApple本社。
無論、本社と名乗りつつ、実際に観光客が許されているのは本社の末端の末端にあたる一施設のみである。
これで「本社に来た」言うたら、詐欺になるんとちゃうんかえ?
ビジターセンターは一言でいうと、バカでけえApple Storeだった。
ただ、もうなんか、雰囲気がすごい。光と白と静寂がおりなす「これが洗練やでおま」の自信を、空間からビンビンに感じる。もはや教会。
世界中から集まってきたApple信者たちが、どこか恍惚とした表情をしているではないか。
「ここでしか買われへんAppleのお土産があるんやて!」
ペン 5,000円。
パーカー 12,000円。
手が震えた。これをお土産にする勇気はねえよ。呆然と突っ立ってるわたしを置いて、商品は飛ぶように売れていく。
お布施と思えば実質無料です!の顔をした観光客が、一斉にクレジットカードを切っていく。
ペンを握りしめたまま躊躇していたら、陽気すぎる店員さんがみすず学苑もびっくりな怒涛の英語で話しかけてきた。
気づけばわたしも正気を失い「まあ……あっちのMacBook Proが28万円なんだから、ペンの5,000円は実質無料だよな」と買ってしまった。
まあ、Macには命を救われた経験もございますし……?
やたらめったらオシャレなカフェも併設されていた。
ここでMacBookを開いてリモートワークをしている観光客もいた。そういうタイプの“巡礼”だと思うことにした。
次に行ったのは、Google本社。
ここでも限定グッズが買えるのだが、入った瞬間、わたしは叫んだ。
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