【キナリ★マガジン更新】書きたいことより、伝えたいことが先回りしてるもんで(エッセイの書かされ方)
いつも、伝えたいことで頭がパンッパンだ。
それを濁流のように書いて放出することを、わたしは選ぶしかなくて。なんでそんなことになってもうたんや?
わたしがこうなったのは、子ども時代にさかのぼる。
最初に覚えた二語文は「奈美ちゃん、あのね!」だった。あれがほしい、それがしたい、こんなのを見た、話がまとまらないがとりあえず振り向いてほしくて連発していた。
母は、世界一の受け取り上手だった。最高のリアクションで聞いてくれた。だから幼稚園も楽しかった。
父は忙しくあまり話を聞いてくれなかったが、憧れだった。
「人間は怒りを忘れたら終わりや!怒れ!」
「笑わせるんが一番かっこええ!笑わせて人気者になれ!」
矛盾したふたつの思想を授けてくれた。もはやカンニング竹山氏になるしか道はないのではと思うが、わたしにしゃべる才能はなかった。
小学校から、つらくなった。
「奈美ちゃんばっかりしゃべりすぎ!あっち行って!」
友だちの輪からはじき出された。ありえない情報量を1.5倍速で話す狂人だったので当然だ。女子国家における会話泥棒は軽犯罪である。
じゃあ、もっとおもしろい話ができるようになろう。いらん冗談を足し、口をすべらせ、最終的には友だちが校区外で禁止されたプリクラを撮っていたという誰も幸せにならないゴシップを扱って破滅した。誤学習。
とはいえ、文章がうまいわけでもなかった。
作文を書けば、二行ごとに話題がとっ散らかるショート動画のごとき文章でギチギチ。先生に褒められないのが悔しくて、最終的に2ちゃんねるの笑える話を写して出した。コピペのコピペ。
大学生になって、授業で自己紹介をすることが増えた。福祉学科だったのでダウン症の弟のこと、車いすの母のことを話すも、情報過多。
そりゃ泣きたくなるようなこともたくさんあったけど、こんなおもしろ話もあって……
一生懸命話したが、あんまり伝わらなかった。感情よりも先に設定だけが伝わってしまう。
途中で「大変だったんですね」とか「神様は越えられない試練は与えないからね」とか言われるたび、絶望的な気持ちになった。
他人に気を遣わせてしまう、わたしのことが許せなかった。
そんなことじゃない。わたしが伝えたかったのは、そんなことじゃないのに。励まされるたび、かわいそうな人になってしまった気がした。
わたしがおかしいんやろか?わかってもらいたいと思うことは、ないものねだりなんやろか?一生、このわけのわからんさみしさを、抱えていくことになるんやろか?
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