【キナリ★マガジン更新】北欧に旅行しても刺激がない
デンマークに2日間、フィンランドに5日間いたけども、ずっと心を穏やかに過ごした。ここは凪です。
いや、凪を越えて、
刺激がねえのよ!
朝起きて、歯みがいて、
「……あ、ここ日本じゃねえわ。今日何したらいいんだろな」
って気づくほどよ。
昨年の夏にパリへ行ったときは刺激だらけで。四方八方から竹串でチクチクされまくって、常に爆竹が鳴り散らすごとき体験で。寝ても覚めても動いてなきゃ気がすまねえので、やりたいことが尽きなかった。
北欧は、なんつうか、3日目にはもう「這ってでもやりたいこと」がなくなってる。ポケーッ。
うちの母なんて、あの、高熱出ました。あれは緊張の糸が切れて、油断したら、出るちゅうやつでね。
地球の歩き方に「北欧では暮らすように旅するのが正解!」って書いてたけど、わかった。つまり「血眼になってまで観光せんでええよ」の素敵な言い替えである。
なんでだろうなあ?
深夜もずっと明るいから?
白夜(びゃくや)っていうらしい。BLEACHでしか聞いたことない響き!
ということで、デンマークの最終日はチボリ公園に行った。
大人だけの旅行だし遊園地は行かなくていいやと、候補から外してたのに。まさかチボるとは。
世界最古の遊園地なんて、浅草花やしきみたいなもんでしょうが。ったく、そんなところに33歳が行ったって……
入園、即、この笑顔。
なめていた。チボリ公園をなめていた。なんだここは。めちゃくちゃワクワクするやないか。
まず、建物のおとぎ話感がいい。作り込んでるんじゃなくて、使い込まれている。ダーッと並んでるライトも電熱球で、LEDを見慣れてるわたしには、ボヤァッとした灯りがたまらん。
よく見ると、電球がいっこ切れてて、それもいい。
公園と名づけられてるだけあって、緑もわさわさしている。これでもかと生い茂っていて、とんでもなく気持ちいい。
アトラクションの建物にも「お前それはどこまで自力で生きることを許されてるんや」と一旦聞きたいぐらい、わっさわさ。
動くわけでもないデッカイ船なのに、植物に囲まれてるだけで物語を感じる。攻めてきてる。こんだけ緑があれば生き物もいるわけで、
逆カオナシみたいな色の鳥もいるし、
ふつうに孔雀も歩いていた。いいんだろうか。孔雀。
遊園地といえば、アトラクションなんですけど、まあとてつもなく古くて狭いし、小さな頃に乗り飽きたものばかりで、ぜんぜん期待してなくて。
「きゃーっ!あははははは!」って、歓声の響く方へ行くと、
これがチボラーたちには大人気。空中回転吊り下げ椅子。こんなん、どこの遊園地にもよくある、定番中の定番じゃないですか。
建ってる場所が、良すぎないか?
「なんか絵本の世界みたいだな」と「ビューティフルライフでキムタクが乗ってたなこれ」の思考の狭間を高速反復横跳びしながら、ボケーっと見てたら、
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