【キナリ★マガジン更新】【見逃し配信中】『新婚さんいらっしゃい!』は新婚の中の新婚が這い上がる夢の甲子園だった

 

ABCテレビ『新婚さんいらっしゃい!』に、出演しました!夫婦の夢だったので嬉しかったです!

TVerで見逃し配信(〜2025年10月19日13:25)

↓ここから全編Tverで観れます

https://tver.jp/episodes/ep9sdgfh0p

衣装はいつも愛用のヘラルボニー ボウタイブラウス「旅行」を着ました。

ここからは、新婚の中の新婚という関西人の栄光を掴み取るための、涙と汗のわけのわからない記録です。

目次

  1. オーディションではなく予選会がある

  2. 年の差婚で初夜の話ができますか

  3. 書類審査を通過したら盛り上がっていく

  4. 定位置は尻にバツ印を

  5. 一発で弟の声を聞き取る人だから

  6. イエス・ノー枕も令和で進化していた

2025年5月に『弟にコンビニでおごられる人だから、結婚した』というエッセイで結婚を公表した。

もし夫婦での仕事や出演の依頼をいただいても、お断りしようとふたりで決めていた。なぜならば古今東西、夫婦は必ずケンカするので。怒りの臭豆腐をぶつけ合うようなケンカしている日にも、カメラの前でニコニコ並んではいっチーズ!いい夫婦の日!みたいなのは、たぶん、地獄なので。

人生はね、落ちる地獄をひとつでも減らしたほうがいいですから!借金と同じ!

ですが『新婚さんいらっしゃい!』だけは別。

夫・みずきくんは、藤井隆さんを敬愛してやまない男だ。もちろん、わたしも藤井隆さんが好きだ。現世のだいたいの人は藤井隆さんが好きだ。しかし、みずきくんの好きは、その好きよりも好きなのだ。

藤井隆さんと超至近距離で話せる、今現在、最も合法的な手段が『新婚さんいらっしゃい!』への出演なのだ。法律の抜け穴である。

「出たいよな……?」

「出たいなあ……!」

関西人なら生きていれば、突然落とし穴に落ちるかのごとく無性に出演したくてたまらなくなる夢の番組がある。それが『探偵!ナイトスクープ』 か『新婚さんいらっしゃい!』の二択だ。


出よう。

どうやったら出られるんだ?


オーディションではなく予選会がある


調べてみて、ビビッた。


『新婚さんいらっしゃい!の予選会のお知らせ』


よ、予選会……?
オーディションとか抽選じゃなく……?

妙に好戦的な名前だなと思ったら、なんと『新婚さん』に出演するには、書類審査を通過し、地方大会で一次予選、全国大会で二次予選を勝ち抜き、プロデューサーや放送作家が鎮座する最終決戦で勝利しなければいけないという。

その参加者数、まさかの2,000組!

なんてこった。われわれが茶の間で「この人えらい若作りやな〜」などとニタニタしながら気軽に見てた裏側では、新婚が新婚を蹴落とし、血反吐をはいて這いずりながら、2,000組の夫婦の頂点を目指しにゆくという、週刊少年ジャンプも真っ青な熾烈の新婚バトルロワイヤルが存在したのだ。

新婚という響きと合わなさすぎるだろ。
甲子園かよ。

「えっ、どうする? 『newsおかえり(同局ワイドショー)』の岸田奈美ですって紹介してもらったら、裏口出場できるかも……?」

みずきくんはしばし黙り込んだ。

「いや……藤井隆さんに会うなら、綺麗な身体で会いたい……」

その高潔さこそ、我が夫。

真正面から、予選会へ挑むことになった。


そうと決まれば、情報収集である。『新婚さんいらっしゃい!』の情報収集という、恐らく人生で一度しか使わない予定。

情報も何もないやろ!と思うだろうか。それは大きな間違いである。調べて見れば、出るわ、出るわ、予選会の情報が……!

AbemaブログやYahoo!知恵袋などに、経験者たちの生々しい記録が刻まれているのだ。その文章の洗練されてなさたるや、本物である。

予選会を見事に勝ち抜いた新婚、予選であえなく散っていった新婚、あと一歩で夫婦ゲンカが勃発して辞退した新婚、番組にすべてを賭けて一生分のラブラブを使い果たし出演後に離婚した新婚……。

新婚という新婚が、血の涙を流しながら書いた『攻略』を、絶対に無駄にしない。その壮絶な戦いに、たまに涙をこらえながら、毎晩読んだ。


年の差婚で初夜の話ができますか


その結果、予選会を勝ち抜ける新婚の“パターン”が判明した!

その前に意識すべきは『新婚さんいらっしゃい!』は、民放の番組ということである。視聴者の要望に応えて、視聴率を上げなければならない。

視聴者はダントツで、60〜70代だそうだ。

むちゃくちゃ高齢者やないか!いや、でも、わかる!みずきくんの寺のある村(超高齢化)では『新婚さんいらっしゃい!』の視聴率が120%を越えている!

ということは、高齢者に人気の出そうな夫婦が予選を通過しやすいわけだ。(※個人のブログから得た統計で、公式の見解ではございません)

1.ものごっつい年の差(20歳以上)夫婦であること
夢。これはもう夢なのである。「ええ〜!アタシやったらこんな息子と同じような子とはキッスとかできへん!ようやるわ!」とグチグチ言いながら、心のどこかでは若いイケメンとウハウハしたい。高齢社会における大谷翔平ドリーム、それが、年の差婚である。

2.初夜の話ができること
性のあり方も、時代とともに変わってきた。30年も世代が開けばもはや、男と女がどうやって交わっているかなど、宇宙人レベルで想像できないのではないか。エロへの興味ではない、これは文化人類学的な好奇心である。


……ほんまか!?

書いてて思ったのだが、ほんまなんか!?攻略情報にはMCが桂文枝師匠の時代のも多く含まれていた。令和の今、鵜呑みにしていいのだろうか。不安になってきた。


3.夫婦の片方がよく喋って、キャラが濃い
ふたりともキャラが濃いとお腹いっぱいになってしまう。片方が破天荒に暴れまわって、片方は真面目で無口ぐらいがちょうどいい。


あっ……これならなんとかいけそう!


書類にはみずきくんのエピソードをメインで書くことにした。年上なのにわたしの弟の舎弟に甘んじ、コンビニでアルバイトしている、おもしろい僧侶だ。

岸田奈美の話だともうすでに各方面から取材していただいているので、真新しいものがないかもしれない。そもそもわたしは結婚してから「稲田奈美」になったので、岸田奈美は一旦、書類では封印することにした。

正面から、正々堂々、新婚の戦いに身を投じるのだ!


書類審査を通過したら盛り上がっていく


後日、家に封筒が届いた。
書類審査に通過していた。

やったー!

番組ディレクターから電話がかかってきた。


▼記事の続きはこちら

https://note.kishidanami.com/n/nea82c701cfe3

▼キナリ★マガジンとは
noteの有料定期購読マガジン「キナリ★マガジン」をはじめました。月額1000円で岸田奈美の描き下ろし限定エッセイを、月3本読むことができます。大部分は無料ですが、なんてことないおまけ文章はマガジン限定で読めます。

▼購読はこちら
https://note.kishidanami.com/m/m5c61a994f37f

 
コルク