【キナリ★マガジン更新】結婚披露宴のホームビデオ的な文章(開幕編)
ここでエッセイを書きはじめて、ちょうど6年になりました。
もうすぐ500記事に届きます。『母をたずねて三千里』が、およそ全50話なので、マルコならアルゼンチンまでもう10回たどり着いてるということです。
母をたずねて三万里!(定期面談)
生きるために書いていたはずが、書くことと生きることがへばりついて、ここにはもう、わたしの人生があるわけです。
2025年5月25日に、わたしは“よき日”を迎えました。これから人生で何度も思いだすであろう、特に“よきよきの日”です。
披露宴という身内も身内すぎる浮かれポンチのことを書くのはどないやねんとも迷ったんですが、ここでわたしの人生を見守ってくださってきた人、というかもう、同じ時代に同じ地球で人生を歩んでいる人には、“よきよきの日”の“よき”を、少しでもアレしたい。
会場にお越しくださったみなさまに感謝しても足りやしない感謝と、遠くから祝福してくださったみなさまにお返しの気持ちを込めて。
親戚の家で見せられるホームビデオぐらいの気持ちで。座布団どうぞ、そこに扇風機もありますから、麦茶も作ってますんで、あっ、お腹弱い人はヤカンから注いでね、おやつにふかしたお芋もこのへんに置いときますから。
どっこいしょ。
※披露宴にご参加された方で読みたいとおっしゃってくれる人がいましたら、わたしかみずきくんにご一報ください。謹んでお送りします。
目次
おめかしされるゾンビ
『出町ふたば』の名代豆餅を持ち帰るために
こういう写真を撮る
倍に増えた家族が大集合
「踊ったァ!良太が踊ったァ!」
受付はわたしとみずきくんがやる
まさかの挙式ストライキ
始まる前からもう大団円
結婚披露宴の当日。
起きて、すぐ、こうなりました。
朝日を浴びると砂になるタイプの人間なので、絶対に起きられないと踏んで、会場に泊まったら、まるで起きてないうちに準備が始まりました。
おめかしされるゾンビ
ちなみに、起きたら、みずきくん(新郎)がいませんでした。
脳裏によぎる、往年のロングバケーション。ウエディングドレスで駆け抜ける町。新郎に逃げられたとて山口智子にはキムタクがいるが、岸田奈美は咳をしてもひとり。
言うてる間に、みずきくんから電話がかかってきた。
「奈美ちゃん!いま!餅を!ゲットした!」
そうでした。
みずきくんはひとりだけ早起きして、小雨の中、京都の出町柳まで走ってくれてたのでした。
『出町ふたば』の名代豆餅を持ち帰るために
(撮影 幡野広志さん)
京都のソウルフードといいますか、とにかく、おいしいんです。せっかく京都まで足を伸ばしてくださるなら、いちばん食べてもらいたいのはこれ。
でも、いつも行列だし、作りたてのおやつだし、むずかしいよな……と思っていたら、
「できますよォ」
数ヶ月前、お店に聞いてびっくりした。
「えっ、えっ、引き出物で、100人分なんですけど」
「できますォ。熨斗もかけますよォ」
引き出物に、名代豆餅が加わった。
つきたてのホヤホヤだから、披露宴の早朝、みずきくんが取りに行ってくれることになったのだ。
「いま!おれは!車の中で100人分の豆餅に!囲まれている!すごい!」
京都民が死に際に見る夢?
無事に帰還なさいまして、
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