『彼がいる場所』

 

約束を結ぶ人だけに見えているものがある。
親戚のなかで一番優しかったおじさんと、一番怖かったおばさんの話。

岸田奈美・短編小説シリーズ第一作、電子版限定刊行!
2025年3月、SNS告知から15万人がアクセスした話題作が、ついに電子化。

【あらすじ】
 ユヅルおじさんは、わたしの親戚の中で、いちばん優しい人だった。頼まれたら、断れない人でもあった。
 小学生のわたしが思いつきで「ハムスターが欲しい」とお願いしたことで、月に一度、おじさん宅へ通うことに……。そこには、たいがい機嫌の悪い透子さんがいた。

透子さんは、どうして私がこんなことをとでも言いたいような完ぺきな仏頂面で、毎日毎日、ハムスターの肥満防止としてはあまりに贅沢な鳴門金時を潰していた。
 ハムスターは平均寿命といわれる2年を超えても、なぜか元気に生き続けていた──。

【読者から感動の声、続々!】
「冷たそうに見える人が本当は優しい人。そんな人間の奥行きを感じた。」
「お互いの優しさや思いやりを押し付けるのではない、深いところにある人の優しさが胸に残った。」
「分かりやすい優しさも、わかりにくい優しさも、どちらも尊いことが伝わる。」

数々のエッセイを発表し、明るいユーモアと愛をもってどんな出来事も描き切ってきた岸田奈美だからこそ書ける家族小説。

2025/08/25 電子書籍刊行(コルク)