『声』

 

25歳で看護助手に転職した私。でも職場で与えられた新しい仕事は、
患者のやばすぎるクレームに返事を書き続ける係だった。

【あらすじ】

芸看護師になりたかったはずの私が、総合病院の受付裏で担当することになったのは、患者から匿名で寄せられる「患者さまの声」に返事を書く仕事だった。
『待合室の金魚の目つきが悪い』『採血がヘタすぎる。死ね』……

理不尽で辛辣な言葉が並ぶ紙の束を前に、私はただひたすらに返事を書き続ける。患者さんに寄り添いたかった。ありがとうって言われたかった。けれど、返事は掲示板に貼り出されるだけで、誰の目にも読まれない。

それでも、私は書き続けるしかなかった。
ある日、返事を掲示板に貼り出したその時、背後から澄ました笑い声が聞こえた──。

【読者の声】

「孤独な役割の中にある、小さな優しさに胸を打たれた。」「名もなき力持ちの主人公にスポットライトが当たる瞬間が鮮やか!」
「青服として奮闘する主人公と患者の姿が重なり、切実で心に残る物語。」
「投書する側とされる側の微妙な距離感や感覚が丁寧に描かれ、読後に様々な思いが溢れる。」
ある病院で見かけた『患者様のお声コーナー』の実話をもとにした短篇小説。
「患者さまの声」という無名の声に、無名のスタッフが寄せる回答は無力だ。
だがある日、誰かが足を止める。その瞬間、無名の声と無名の返事が、誰かに届く──。

 
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