いなくならない父のこと 第五回 いつかの父の、仕事の話 (後輩の市田さん)。
大きな窓の外には、父の好きだった街が広がっている。
春の陽光がさす西宮のレストランの席に、その人はいた。
「まさかぼくが、岸田さんの娘さんに会って、
こんなふうに昔話ができるなんて。
ぼくの話が、エッセイになるんですか。
やあ、うれしいなあ!」
市田俊博さんは、父が独立するまで勤めていた、
不動産会社の後輩だった。
「岸田さんと僕は、兄貴と弟みたいな関係でした。
リフォームの新規事業をはじめる部署で、
ふたりとも手さぐりだったから、たくさん色んなところへ
出かけたし、話もたくさんしました」
市田さんの話のなかでは、父は、
岸田さんだったり、岸田主任だったり、浩二さんだったり、
違う名前になる。まるでいまも生きているみたい。
市田さんはまちがいなく、
わたしが見たことのない会社員としての父を、
じっと見つめて、慕って、そばにいてくれた人だ。
「ぼくたちの共通点は、人と違うことが好きで、野心家で、
会社からすこし浮いていたこと。
当時のぼくはUFOにはまっていて、
手がかりを見つけに渡米するくらいだったんですけど、
その話を聞きつけた岸田さんが
『お前、おもしろいな』って言ってくれたんです」
言いそうだ。
続きは、ほぼ日刊イトイ新聞で読めます。
https://www.1101.com/n/s/kishidanami/2021-01-14.html
第1回
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第2回
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